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2012年4月 2日 (月)

サラの鍵~覚えていて、決して忘れないで

知人が読んで良かったと言うので、図書館で借りて読んでみました。
まさに期待に違わぬ力作でした。読書する醍醐味が味わえました。

タチアナ・ド・ロネ著 「サラの鍵」 
新潮クレスト・ブックス

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423ページの長編

bookあらすじ
ユダヤ人迫害の動きが過激化する1942年のパリ。幼い弟を納戸に隠したサラは、その鍵を手にしたまま収容所へ送られてしまう…。
現代のパリで平穏に暮らす45歳のアメリカ人女性記者ジュリアは、戦時中にこの街で起きたユダヤ人迫害事件を取材することに。
物語はサラの物語とジュリアの物語というように、現在と過去を行き来しつつ展開されます。
そして、この事件はジュリアの、そして家族の人生を深く、大きくゆさぶりはじめる…。

この小説は単にホロコーストを描いたものではありません。物語自体はフィクションですが、実際に起こったヴェルディブ事件を元にしています。
ユダヤ人虐殺がナチによって行われたというのは誰もが知っているでしょうが、この話はナチそのものではなく、フランス警察がユダヤ人を捕らえ、そしてアウシュビッツに送る手筈を整えたという歴史的事実に触れています。
自由の国フランスでは、これは触れたくない事実でしょう。実際、フランスでは語られることのない黒歴史のような扱いを長く受け、1995年になってようやくシラク大統領が事実を認めた経緯があります。

「あなたはサラに対して何を謝るのか?」の問いに対する、ジュリアのこの言葉が忘れられません。
「45年も生きてきて、自分が何も知らなかったことを謝りたい」。

過去の出来事は変えられないけれど、今を生きる私達がそれを知り、向き合い、目を逸らさなければ、未来を少しだけ変えることが出来るかもしれない。例え、それによって自分自身の生活が変わってしまったとしても。
という作者の強い意思が読み取れます。
ラストはちょっと意外かつ感動的でした。ジュリアの決断については男としていろいろ考えさせられる事がありましたが・・・

読書の楽しみを奪うことになるので、これ以上の内容は書きません。是非読んで頂きたい。そしてジュリアと一緒に真実を探って欲しい。


◆映画化
この物語は映画化され、2010年6月の東京国際映画祭で上映されました。映画祭での若いフランス人映画監督の「現在だって世界で起こっていることを考えたら、サラは誰にでもなり得る」の言葉が印象的でした。ノーベル平和賞を受賞した劉氏にも当てはまる言葉です。

日本ではようやく2011年12月に一般公開され、現在もロングラン中です。しかし私は見ません。活字として記憶したほうが心に残るから。

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