書籍・雑誌

2014年11月 2日 (日)

坊ちゃんの時代

坊ちゃんの時代』(関川夏央、谷口ジロー共著)全5巻読了
 

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『坊っちゃん』は、文明開化という大きな時代の流れに付いて行けなかった者の悲劇だとする関川独自の発想を基に、漱石を中心とした明治の文学者たちや世相を描いた作品。全5部構成。
第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作品。

第一部 「坊っちゃん」の時代:
 漱石の『坊っちゃん』が完成するまでの経緯と当時の世相。
第二部 「秋の舞姫」:
 二葉亭と鴎外とが知り合うきっかけとなった舞姫事件。
第三部「 かの蒼空に」:
 「明るく無責任で享楽的」な啄木像。
第四部「 明治流星雨」:
 近代日本の大きな曲がり角となった大逆事件。
第五部「 不機嫌亭漱石」:
 漱石の「修善寺の大患」を中心に明治の最末期を描く。
 
マンガと侮るなかれ。明治という時代と明治人の苦悩と葛藤を活き活きと描写しています。絶対の自信を持ってお勧めできるマンガです。

2013年12月22日 (日)

最後の晩餐の真実

海外旅行では主にヨーロッパに行っているので、キリスト教の知識があるのとないのとでは大違い。ということで、キリスト教のにわか勉強中です。


先日読了した本(図書館で借りました)を一冊紹介します。
 
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最後の晩餐の真実
原題 『The MYSTERY of THE LAST SUPPER』
コリン・J・ハンフリーズ 著
黒川由美 翻訳
太田出版
発行年2013-07-24
 

最後の晩餐といっても、レオナルドの絵のことではありません。実際のイエスの「最後の晩餐」にまつわる謎を究明するノン・フィクションものです。
「ダ・ヴィンチ・コード」のような内容を期待していると、完全に裏切られます。

イエスが歴史上、最も著名な偉人の一人なのに没年が確定されていないことに疑問をもった著者が、それを確定するために、「最後の晩餐」は西暦何年の何月何日だったのか、イエスの最後の週に何が起きたのかを特定する過程を描いています。

自身が物理学者でもある著者が知人の天文学者に依頼し、古代の暦を再現し、確実な曜日や日付などと照らし合わせるとともに、イエスの裁判や磔刑前後の状況に関しては、ユダヤ教の律法と整合性を持つように解釈していきます。

この本では、磔刑が西暦3■年4月3日(金)、最後の晩餐が同4月1日と特定されていますが、結論よりもその解明経過が上質な推理小説を読んでいるようで、知的好奇心を満足させてくれます。聖書学者の反応がどうなのか気になりますが、キリスト教徒ではないので知ったことではありませんわーい(嬉しい顔) 

解明経過ではいろいろな暦が出てきますが、一日を日没から始める暦や、日の出から始める暦、月の始まりをいつにするか、年の始まりをいつにするかなど、似て非なる暦がたくさんあり、それがいつ頃どの民族、どの地域で使われていたのかなど興味深いことが満載でした。

各章毎にわかりやすい「まとめ」が記載されているので、素人でも分かりやすい内容になっています。

キリスト教、天文(暦)、推理小説、この3つに興味がある方には最高の読み物ではないでしょうか。これぞ三位一体!

2013年9月26日 (木)

最近読んだ本

退職後も趣味の本読書は細々ですが続いています。

読書する上で現役時代と変わったことは、
①動く書斎(通勤電車)で読まなくなったので、文庫本という制約が取れた
②ということで、(字が大きな)単行本を読む機会が増えた
③ということで、新刊本を読むことが増えた
④新刊本は高いので図書館で借りることが多くなった
⑤いつでも本が読めるということは、読まなくてもよいということなので読書量が減った
⑥老眼が進んだせいでしょうか、30分も本を読んでいると目が疲れて困ります
というところでしょうか。

いまのところ、電子書籍には食指が動きません。

最近読んだ本をいくつか紹介しておきます。

①舟を編む
 三浦しをん著
 光文社
 
2012年、本屋大賞を受賞
2013年、石井裕也監督により、松田龍平主演で映画化<見ていません>

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図書館で借りるのはメリットが多いですが、人気本は予約者が多くてなかなか順番が回ってこないのが玉に瑕。この本は予約してから1年半たってようやく借りられましたが、3時間で読んでしまいました・・・

辞書「大渡海」の編纂に携わる人々の物語。フィクションですが、辞書を作る大変さは伝わってきます。「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味でこの書名が付いているそうです。
読後は家にある広辞苑を久しぶりにながめてみました。電子辞書を否定するつもりはありませんが、やっぱり辞書はこうでなくちゃと思いましたね。

シンプルな装丁がいいです。終盤近くにでてきましが、辞書「大渡海」の装丁と同じになっています。これは想定内・・・(余計な一言でした)

利休にたずねよ
 山本兼一著
 PHP研究所(文庫本あり)
 
第140回直木賞受賞作
2013年末に、海老蔵・利休による映画も公開されます

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山本兼一氏の作品ははじめて読みます。
利休切腹の日から19歳の青年時代へ遡り、周辺の色々な人物から見た利休像が描かれ、利休の美意識が形成されていく様子が浮かび上がってくる仕組みとなっています。
茶室の室礼や所作のひとつひとつまでが目に浮かぶような簡潔明瞭な美しい文章です。
茶道に関する知識があればなおさら理解が深まると思います。

さて書名ですが、何を利休にたずねるんでしょうか?
映画のキャストはあれでよかったのかと・・・?


花鳥の夢
 山本兼一著
 文藝春秋社
 

「利休にたずねよ」、が面白かったので山本兼一の最新作を読んでみました。
装丁が豪華なこと!

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稀代の絵師・狩野永徳の生涯を描く作品。
永徳の絵に対するすさまじき情念、ライバル「等伯」に対する異常とも思える嫉妬、そして狩野派の長としての苦悩。絵を描く事への永徳のこだわりが文章から滲み出てくるようでした。

④モンスター
 百田尚樹著
 幻冬舎(文庫本あり)
 
2013年、高岡早紀(絶世の美女かなあ・・・)主演で映画が公開。<見ていません>

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「永遠のゼロ」や「海賊とよばれた男」とは趣が変わった作品。
モンスターと呼ばれるほど畸形的に醜い女性が、整形手術を繰り返して絶世の美女に生まれ変わり、自分の過去と愛憎入り混じりながら向き合うというお話。
百田尚樹特有の淡々とした文体で読みやすい。

整形や風俗など、危ない世界のことが詳しく書かれていたので興味深く読みましたが、大切なのは見た目か内面か。永遠に解答が出ない問題でしょうが、現実にも「美容整形に翻弄されている人」がいますが、そういう人たちは若いうちはいいかもしれませんが、どうやって年を重ねていくのでしょうか。


★読書中

○等伯(上、下)
 安部龍太郎著
 日経新聞出版社
 
第148回(平成24年度上半期) 直木賞受賞

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狩野永徳のライバル等伯(長谷川信春)の生涯を描くお話し。
山本兼一の「花鳥の夢」で"永徳"を読んだので、"等伯"も読みたくなり図書館で借りました。これは3ヵ月半で借りられました。
 
読後感は読んでから・・・

いずれの本もお勧めです。
読書っていいですね!

2013年6月12日 (水)

海賊とよばれた男

石油元売会社「出光興産」の創業者・出光佐三(いでみつ・さぞう)と、1953年(昭和28年)にイランから石油を輸入した「日章丸事件」をモデルとした小説「海賊とよばれた男」(百田尚樹著)を読みました。

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『永遠の0』の作者・百田尚樹氏渾身の大作。2013年の本屋大賞受賞作。

本が貯まるのがイヤなので図書館で借りましたが、申し込んでから4ヶ月目でやっと順番が回ってきました。人気の高さがうかがえます。

本作では国岡鐵造という架空名で登場しますが、石油に執念を燃やす出光佐三の人生を描いた半ノンフィクション小説で、ほぼ史実に沿った内容となっています。

日本人であることを強く意識した出光佐三。彼が生きていたら、今の日本をどうするのだろうなあ、と考えさせられます。

ネタバレになるので本の内容は記載しませんが、
「ガソリンなんて、どこの会社も同じようなものだろう」と考えていましたが、これを読んだら、「給油するときは絶対に出光のスタンドを探すぞ」、と思ってしまいます!

これは自助努力で体感してくださいわーい(嬉しい顔) 

一気に読めます。読んで絶対に損はしません。
(文庫本はまだ出ていません)

◆蛇足

出光興産単独スポンサーの「題名のない音楽会」。私も学生時代には公開録画に通ったことがある大変な長寿番組ですが、佐三の「芸術に中断は無い」との考えに基づき、番組途中でCMを入れない構成となっており、現在もそれは守られています。守って欲しい。

◆蛇足2

出光美術館には仙崖の作品が多数ありますが、なぜこんなにあるのかの理由も分かります。
 
◆蛇足3

あの永遠の0』の若き日の宮部少尉とのさりげない出会いも書かれています。

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